ふぁいなるふぁんたじー9

「へぇ、だいぶ元通りになったんだ。」
男はアレクサンドリア城下町を見ていった。
男の服はかなり個性的であった。
だから、きっと誰でも彼の名がわかるであろう。
「さ、愛しの弟に会いに行くかな。」
そして彼は、アレクサンドリア城までワープしていった。

「だ〜か〜ら!!会わせてくれよぉ!おっさん!!」
「駄目である!ガーネット女王は執務中である!!」
「そこをなんとかしてくれよ〜。俺とおっさんの仲じゃないか!」
 女王の部屋の前で、ジタンとスタイナーが言い合っている。
「スタイナー・・・。貴方がそんなひとだなんて・・・。」
「??なにがであるか??ベアトリクス?」
「二人がそんな”仲”だなんて!!!!!」
ベアトリクスは、仲という言葉を強調した。
「お〜い。何か勘違いしてない??
 俺とおっさんはクジャを倒した仲間ってなだけだぜ?」
「そうでしたか・・・。ほっ・・・。」
ベアトリクスは安心した。
「なぁ、ダガー・・・っつーかガーネットに会わせてくれよぉ・・・。2人とも。」
半べそなジタン。情けない・・・。
「ガーネット様にお聞きしてみましょう。」
「なぬ?!」
「おぉ!さっすがベアトリクス!!おっさんとは頭が違うね♪」
ベアトリクスは得意げに髪をかきあげドアをノックした。
「ガーネット様、ジタン様がおみえですが・・・。」
「・・・。」
返事はない。
「ガーネット様??」
「寝てるんじゃないか?」
「そんなことはあるまい!何を言うか!ジタン!!!」
「失礼します。」
ベアトリクスはドアを開けて入って行った。
「むにゃむにゃ・・・。」
ガーネットは寝ていた。
「寝顔もプリティ〜〜。」
ジタンは満足していた。
「ガーネット女王!起きて下さい!仕事中ですぞ!!」
スタイナーが怒鳴ってガーネットは目を覚ました。
「は!!いけない。私ったら・・・。」
「お・は・よ♪」
「ジタン!?来てくれたの!!」
「おう!ダガーのためならたとえ火の中、水の中、草の中、森の中!
 何処にでも行くさ!」
ラヴラヴな二人。ベアトリクスとスタイナーは部屋を出ようとした。
その時!!
「会いたかったよ!愛しの弟!!ジタン!!!」
見覚えのある顔、声、服・・・。
「クジャ?!?!?」
みんなが言った。
「ジタン!君のおかげで僕は生きることの意味を知ったよ!」
「それは良かった・・・じゃなくて!なんで生きてんの?」
「歌ったんだよ、あの歌を・・・。」
その時みんな思った。
―ジタンのパクリじゃん・・・。
「なんであの歌を知ってるのですか?!」
ガーネットはびっくりした。
「いやぁ、ジタンが時々歌ってたんだ。それを録音しててね、覚えた。」
「さいですか。」
ジタンは愕然とした。
(あぁ、どうして俺とダガーの仲を邪魔するかなぁ・・・。)
「さ!ジタン!お前はもう一人じゃない。」
「あぁ。俺にはダガーがいるからなぁ。」
「そうじゃない!!!僕が居るだろ!君の兄が!!」
「兄貴?そういえば兄貴だったな。クジャの兄貴。」
さらさら受け流すジタンにクジャは言った。
「家族は大切なものなんだ!ガーネット!!」
「はひぃ!!」
「君に愛しの弟ジタンは渡せないね!つれて帰るよ!」
「なにぃ?俺のオアシスを兄貴は奪うのか?!」
「駄目です!!ジタンは私に会いにここまで来てくれたのです!!」
ガーネットも熱弁した。
「ふ〜んだ、そんなことしらないさ。ジタンのオアシスは僕で十分さ!」
「十分じゃねぇ!」
「ま、つれて帰るから。」
「や〜〜〜〜め〜〜〜〜〜ろ〜〜〜〜!!!」
「ブラネ様の仇!!」
スタイナーが斬りかかろうとした時・・・消えた。
「スタイナー・・・。きまらなかったですね。」
ベアトリクスはフっと笑った。
「っていうか、ジタンは!!?連れて行かれたの?!」
ガーネットは取り乱している。
「そのようでありますな。」
スタイナーは静かに言った。
「あ〜〜〜〜!!もう!何でよ〜。ベアトリクス!スタイナー!!」
「はっ!」
「何でしょうか?」
「私の仲間たちを呼んでください。至急です!!」
「はっ!」
「御意!」
そして、2人は・・・。
「連絡・・・。はて、どうやってとろうか。」
「行くのも大変ですしね・・・。」
「う〜む。」
「ま、一番なのは電話ですね。」
「電話?おぬしにまかすぞ。頼んだぞ!」
「え??!スタイナー?!」
結局、ベアトリクスが全員に電話する事になった。

まずは、エーコである。
トゥルルルトゥルルルル・・・かちゃ。
「はい。リンドブルム城です。」
「あ、アレクサンドリアのベアトリクスです。
そちらにエーコ様はいらっしゃいますか?」
「姫ですか?あ、今きましたよ。」
「もしもし?ベアトリクスです。エーコ様ですか?」
「そうよ。ベアトリクスってスタイナーの彼女さん??」
「え?あ、はぁ・・・。」
電話の前で赤面するベアトリクス。
「で、何の用??」
「あ、あのですね、アレクサンドリアに来ていただきたいのです。」
「わかったわ。今ヒマだし。!ジタンも来るの?」
「いえ。ジタン様がクジャにさらわれたのです。」
「なぁ〜〜〜〜〜〜にぃ〜!?今すぐ行くわ!!」
「お待ちしてます。」
「ちょっとそこの人!!新型ヒルダガルデを出すようにお父さんに言って!!
 あ、それじゃ、すぐに行くわ!」
やっと一人終わった・・・。
ベアトリクスは電話が嫌いになった。
「これもスタイナーのせいです!まったくふぅ・・。」
と言いながらも、フライヤに電話をかけている。
「ブルメシアに電話ってかかるのでしたっけ?あ、かかった。」
「こちらブルメシア。誰じゃ?」
「あ、フライヤ様。ベアトリクスです。」
「おお、久しいのぉ。」
「あの・・・アレクサンドリアに来てください。」
「何故?」
「ジタン様がクジャにさらわれて、ガーネット様が動転してるのです。」
「?!?大変じゃ!今行く!フラットレイ様!留守を頼みます!」
「お待ちしてます。」
やっぱり電話は嫌いだ・・・。でも、ガーネット様の為。
「あとは、サラマンダー様とクイナ様・・・。ビビ様はもう・・・はぁ。」
マダイン・サリに電話をしながらベアトリクスは思った。
―モーグリが出たらどうしよう。
「こちら、マダイン・サリですクポ。誰クポ?」
予想的中。どうやって話そうか、とベアトリクスは悩んだ。
「ベアトリクスです。」
「あぁ!ダガー嬢の所の人クポね!ダガー嬢は元気クポ?」
「あ、はい。あの・・・。」
「こっちはメグミ嬢が居なくて寂しいクポ。」
「そうですか・・・。あの・・・。」
「最近暇クポね〜。魚釣りも飽きたクポ・・・。」
なんで、私はモーグリの世間話を聞いてるのでしょう?
私っていったい・・・??
って言うか喋らせてください。モーグリ・・・。
「あ、で、何のようですクポ?」
「えっと、そこにサラマンダー様は居ますクポ??じゃなくて、居ますか??」
「居るクポ。呼ぶクポ?」
「はい。」
「何だ?女将軍さんよぉ。」
「人間との話は落ち着きます・・・。」
「はぁ?」
「あ、いえ。あのですね、ジタン様がクジャにさらわれたのです!
 アレクサンドリアに来てください!」
「わかった。暇だし・・・な。」
「お待ちしております。」
最後はクイナ様。
「めんどくさいですね。」
ベアトリクスは愚痴った。
「あの人との対応も疲れますね、居なかった事にしましょう。」
自分で納得して彼女はクイナを見捨てた。
そして、ガーネットの元に急いだ。
「ガーネット様、連絡が終わりま・・・。」
言葉が途切れた。
その理由は部屋にある。
なんと、暴走のあまり召喚獣が全部召喚されていたのだ。
「ガーネット様??あの??」
「クジャぁ〜〜〜〜〜!!殺してやるぅ〜〜!!」
絶叫しているガーネットを召喚獣達が止めようとしている。
「人間の女よ。我があるじガーネットの暴走を止める方法は?」
静かにオーディンが聞いた。
「頭をちょっとたたくとかどうでしょう?」
「やってみよう。バハムート、行け。」
バハムートがガーネットの頭をバシッと殴った。
「ケアルガ!!」
ベアトリクスのおかげで一命は取り留めた。が、彼女は寝ている。
「これでよいのです。この部屋、どうやって片付けましょうか。」
「アトモスに任せてみては?」
「吸い込んでどうするのです〜〜〜〜!!!」
「リヴァイアサンでは?」
「流すのも駄目です!!」
「イフリートは?」
「燃やさないでください!!」
「シヴァは?」
「こおらさないで!!」
そんな時、スタイナーがやって来た。
「ガーネット女王・・・って、ベアトリクスこの者達は!?」
ベアトリクスは召喚獣たちを見ていった。
「あの者を捕まえて、ここの掃除をさせてください。ガーネット様のためです。」
「まかせろ。」
バハムートはスタイナーを鷲づかみにした。
「ななななな何をする?!ベアトリクス!!」
「ここの掃除をしてください。では。」
ベアトリクスは去った。
「あの女、やるな。」
オーディンは感心した。
「さぁ、男よ。片付けろ。」
そして、スタイナーは監視されながらもがんばった。

「きぃえ〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
ガーネットご乱心。
そばで片付けるスタイナー。
それを監視する召喚獣たち。
そこへ仲間達がやって来た。
「ダガー!!どうしたの??!」
エーコが駆け寄ってきた。
「ジ〜〜〜〜タ〜〜〜〜ン〜〜〜〜がァ!!!」
机を破壊しているガーネット。女王の部屋はもうぐちゃぐちゃ。
「ジタンを探しに行くのじゃ!!」
「おい、どこにいくんだ?」
サラマンダーはフライヤを止めた。
「どこってそれは・・・。わからん。」
こけた。皆こけた。ガーネットもこけた。召喚獣もこけた。
「ちょっとぉ、それはないわよ〜〜。フライヤ〜〜。で、どこか当てはある??」
エーコの問いにガーネットは答えた。
「そぉね、テラは?」
「もう破壊されておる。」
「わかったぜ!!!」
サラマンダーが張り切っていった。
「どこなの?」
「マダイン・サリだ!!!!!」
「何で〜〜!!」
何故にどうしてマダイン・サリなのか、皆は聞いた。
「モーグリが居るからだ!!」
ひゅるるるるるる〜〜〜〜〜。
風が吹いていった。
「し、知らなかったわ。サラマンダーにそんな趣味があったなんて!!」
エーコはひいていた。
「モチャやモーネルやチモモに会いたいんだ!こっちに来てるから会ってねぇんだ!」
「いやぁぁぁ!あんたの口からモチャ達の名を言わないでぇ!」
ガーネットに続きエーコまでも錯乱し始めた。
「で、何処に行くのです?」
話を元に戻すためベアトリクスがため息混じりに言った。
「だからマダイン・サ・・・うがっ!!」
キレたベアトリクスがサラマンダーに”ショック”を放った。
「まったく!で、何処です??」
その時スタイナーは思った。
―ベアトリクスに歯向かうのはやめようぞ。
「リンドブルムに行きましょう。」
ガーネットが口を開いた。
「無難なところじゃな。」
「新型ヒルダガルデで行こうよ!もうそこに居るわよ!」
エーコは得意げだった。
そして皆はリンドブルムに向かった。

その頃・・・。
「どうだい?ここが僕の新居さ!」
クジャはジタンに新居を見せた。
「・・・。新居っておい!ここはリンドブルム城じゃないか?!」
ジタンは怒鳴っていった。
「不動産屋から買ったのさ。信じられないだろうけど僕の新居なんだよ。」
クジャは何処から持ち出したか知らないがバラの花を持っていた。
「俺帰る。」
ジタンは周りを見ていった。
周りにはクジャの肖像画、ポートレート、・・・etc。
そして、花瓶の花は全部バラ!!
―こんなとこに住んでたら性格疑われるぜ。
「冷たいな。・・・仕方ない。スペシャルプレゼントをあげるとしようか。」
クジャはふぅっとため息をつき、どこかに向かって行った。
「おい!クジャ・・・の兄貴!!何処に行く?!」
「の兄貴」はとってつけたようだった。
ジタンはクジャを追いかけた。
階段を上って、エレベーターで最上階まで行き・・・。
「さぁ!ここを君にあげるよ!」
そこは大公の間。
「シドのおっさんの部屋・・・?!」
「そう!君は今からリンドブルム大公さ!!」
大公大公大公大公・・・。
ジタンの心はグラグラと揺らいでいた。
「ま、後ろから政治を動かすのは僕だけど・・・。ははは!!」
ガシャン!!
ジタンの心は決まった。
「俺帰る。またな。俺の邪魔をしない限り兄貴って呼ぶ事にするぜ。」
ジタンはクジャに手を振った・・・が。
「NO!ダメだね、僕は愛しの弟との出会いをそう、例えるならテラがガイアを飲み込み、
 僕がそこの支配者になるくらい喜んでいるのに!!!」
「恐ろしい例えだな、おい・・・。」
ジタンは帰ることを許されなかったらしい・・・。
お気の毒に・・・。
「居てやる、わかった居てやる。だから俺とガーネットの中を邪魔しないで。な?」
ジタンは涙目で頼みこんだ。
「さぁ♪僕は気まぐれだからな〜。」
「クソ兄貴〜〜〜〜!!!てめぇなんて兄貴じゃねぇ〜〜!!」
そう叫びながらも兄貴と呼んでいるジタンだった。

リンドブルムの夕暮れをたたずんで見ている人達がいた。
「俺達どうなるんだろうな。」
「城に戻りたいです。ううう・・・。」
元・リンドブルムの兵士たちだ。
クジャに城を盗られ・・・いや買われて仕事がなくなってしまっていた。
「どうするかのうブリ・・・。」
シドもクジャの手によりまたブリ虫にされてしまった。
「ヒルダじゃないと治せないブリ。またしばらくブリ虫ブリ・・・。」
ヒルダはただ今旅行中。隠者の書庫ダゲレオというところを探しに行ったそうな・・・。
「これはもうジタンたちに頼むしかないブリ。」
そして静かにため息をついた。

「リンドブルムに到着です。」
新型ヒルダガルデのキャプテンはそう言った。
待ちに待った恋人との再会をガーネットはどれだけ喜ぶだろう!!
新型ヒルダガルデをリンドブルム城に止めて皆はシドのもとに急いだ。
「なによ〜〜。姫が帰ってきたって言うのにお出迎え無しなの〜?!」
エーコさんご立腹。
「様子が変じゃ。」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ガーネットの絶叫に皆驚いて振り向くとそこには・・・。
「なんなのだ?この趣味の悪い絵は?」
「クジャに似ておるな・・・。」
「っていうか本人じゃないかしら??」
「え〜でも、クジャはここがこうで〜〜。」
エーコが持っていた油性ペンで額に飾ってあるクジャの絵を手直しした。
「この辺、もっと太くねぇか?」
サラマンダーの言葉に反応してエーコが書き込む。
「ここは〜〜こうでしたね。」
「髪の毛はこうであるな。」
それぞれ、持っていた油性ペンでその絵に書き込んでゆく。
15分経過・・・。
「ぎゃはははははははは!!何これ〜〜!爆笑!!」
エーコは変貌したクジャの絵を見て笑い転げた。
「そっくり〜〜。あはははは〜〜。」
ガーネットも笑い、そしてベアトリクスもふきだした。
「何をやっているのかい!?」
聞き覚えのある声。振り向くとクジャがいた。
「あ!何で貴様がここにおる?」
スタイナーが構えた。
「何でってそりゃぁここが僕の家だからだよ。」
「おとうさんはどうなったの??!」
エーコが聞いた。
「ブリ虫にして追い出したよ。ははは。」
「鬼〜〜!!悪魔ぁ〜〜!人でなし〜〜!ヘンタイ〜!ジタンを返して!露出狂!!」
”露出狂”にはさすがのクジャもカチンときたらしい。
「ふぅ。せっかくジタンを連れてきてあげようと思ったのに。や〜めた♪」
「ジタンはここにいるの??!!」
ガーネットが目を輝かせた。
「いるよ。でも連れてきてあげ・・・」
クジャがそういった時ガーネットは居なかった。
「おい、ガーネットは何処にいったんだ?」
サラマンダーが辺りを見回して言った。
「走っていかれました。」
ベアトリクスは落ち着いていった。
「速過ぎじゃろ?!」
フライヤが目を丸くした。
「皆様にこの事をお話するときが来たようです。」
「何の話??」
エーコは興味津々だ。
「あれはガーネット様が幼かった頃、大切な人形をチーターに盗られた時の事です。」
「アレクサンドリアにチーターなど居ったかの?」
スタイナーは疑問に思ったがベアトリクスは話を続けた。
「細かい事は気にしないように。で、チーターは全速力で人形をもって逃げたのですが、
 なんとガーネット様はチーターに追いつき、怪我なく人形を取り戻す事が出来たのです!
 のちに、そのチーターはブラネ様の敷物となりました。」
そこまで話すとベアトリクスはクジャのほうを向いて言った。
「ガーネット様は必ずジタン様を連れ戻します。さぁ、観念しなさい!クジャ!」
「ハハハ!愚かだ。MYスイートブラザーはここにはもういないよ。」
何処から持ち出したか知らないがクジャはバラを持っていた。
「どこにおるのじゃ?!」
フライヤはすごい剣幕で言った。
「フッ。記憶の場所さ。そこでラストバトルをしようじゃないか!」
そう言い終わった頃、ものすごいスピードでガーネットが帰ってきた。
「うらぁ!クジャ!!ジタンを何処にやったんだよ!居ないじゃないの!!この露出狂!」
ガーネットの髪の毛は逆立っていた。
「ぐるじぃ・・・。あぁ!!!」
クジャはガーネットの手を振りほどいてラクガキされた絵のもとに急いだ。
「ひどいじゃないか!僕の一番のお気に入りだったのに!!」
うつむいてからまたクジャは言った。
「しかも!油性ペン!!ひど過ぎる!もう記憶の場所で決着をつけるしかないみたいだね!」
そしてクジャはワープして消えた。 
「よし!皆行くぜ!」
サラマンダーが大声で言った。
「クジャとの決着をつけるため!」
エーコが続く。
「記憶の場所に!」
スタイナーとベアトリクスが仲良く言った。
「GO!!!」
最後はガーネットとフライヤ。
新型ヒルダガルデに乗り込み記憶の場所に向かった。
肝心な目的=ジタンを助ける事はもうすっかり忘れてしまっているようだった。
どうなるジタン?!

「大公、ジタンさん達来ないですね。」
「待つしかないブリ。」
すでにもう夜。
シドと兵士たちは来る事の無い助けをじっと待っていた。
言わしてもらうとすでに城にはクジャは居ないので今なら取り返す事は可能なのだが・・・。
ま、人生色々なのである。
                         
「っていうかさぁ。俺なんで記憶の場所にいんの??」
ジタンはむなしくつぶやいた。
「はははははははは!!今からここに君の仲間達がやってくるよ!」
突然ワープして現れてきたクジャにジタンは驚かなかった。
「ダガー来る??」
「も・ち・ろ・ん♪」
「うおっしゃぁ〜〜〜〜〜!!」
ジタンはあらぬ方向に駆け出していった。
「そっちはがけ・・・。」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっぁぁあぁぁあっぁぁ!!!!!」
クジャは魔法を唱えた。
「レビテト!!」
・・・クジャってレビテト使えたっけ??
ま、良いにしよう。
ジタンの体はふわぁっと浮き上がった。
「ふふふ。Oh!My スウィ〜〜〜ットブラザァ〜〜!君はこれで僕に借りが出来たね!
 僕の言うことを聞いてもらおうではないか!」
「何?」
不敵な笑みを浮かべてクジャは言った。
「一緒に住も☆」
「いやだ!」
即答だった。
「イヤン。ジタンつめたぁ〜〜い!!お兄ちゃん泣いちゃうぞぉ〜。」
「や〜め〜て〜く〜れぇ〜〜!!!!!!」
床に倒れこみジタンは嘆いた。
「・・・ミコト遅いな・・・。」
「え?ミコトもいんの??」
Yesとクジャは発音よく答えた。
「今何処に行ってるんだ?ミコトは。」
「チョコで世界一周の旅。」
「チョコって俺のチョコボじゃん!何でミコトが?!」
フフフと笑いクジャが言った。
「僕が買ってあげたのさ。メネってチョコボに10万ギル渡したらすんなりOKしてくれたサ。」
「ちっ!世の中、金かよ!!リンドブルム城もだしよ!次はアレクサンドリア城か?!」
「大正解!!」
「マジ?!」
「そんな事許されないわ!!」
聞きなれた彼女の声・・・。
「ダガー!!」
「ジタン!!!」
ガーネットはジタンに飛びついて行きジタンをバシバシたたい(なぐっ)た。
「うげ、い、いたいっす。ダガーさん・・・。」
なぜになぜやらマーカス口調なジタン。
「心配したでしょォ!!何で消えちゃうのよぉ!」
ガーネットはビシバシたたく、蹴る、殴る・・・。
ジタン9999のダメージ。ジタン戦闘不能!
「ジタン、大丈夫かい?兄の愛の口付けでよみがえっ・・・がぁ?!」
クジャをふっとばしでてきたのはエーコ。
「ねぇ。ジタン、こういうときに役に立つのってやっぱエーコでしょ?アレイズ!」
「助かった・・・。おい!クジャの兄貴!アレクサンドリアを占領するのはやめろ!」
「何故だい?君のためなのに。君がガーネットと暮らせるように・・・。」
瞳を曇らせるクジャ。
―兄貴、俺のために・・・。
みんながしんみりしてきた頃クジャがパッとこちらを向いた。
「なぁ〜んてね。うそぴょ〜ん!!」
ずってぇ〜〜〜〜ん!
こけた・・・。
「許せぬ!人の希望を裏切り追って!私も一瞬おぬしを見直したというのに!竜剣!」
「ダガーは別としてジタンを傷つけたのはお〜もい罪なんだから!テラホ〜ミング!」
「ガーネット王女をこけにするとは!クジャ、覚悟しなさい!ストックブレイク!」
「ぐむわぁぁぁぁぁ!!ショック!!!」
「(俺も適当に技をぶっかますか)雑魚散らし!」
「ぎゃぁぁぁ!やめてくれ〜!ジタンは返すから!」
さすがにクジャも観念したようだ。
「ほんとのほんと??」
エーコがクジャの顔を覗き込んだ。
「ほんとさ。あと、リンドブルムも返すよ。」
「それでよいのじゃ。」
ジタンはクジャの方を向いて言った。
「たまにはまた遊ぼうな。」
「あぁ。君は僕の自慢の弟だよ。」
クジャはにこっと笑った。
「あぁ。それとガーネット王女!」
「何ですか!!?」
やや不満げにガーネットはクジャのほうに向き直った。
「ジタンを頼むよ。幸せにしてやってくれ。」
「わかりました。」
皆は帰っていった。
「ただいま〜。」
「あ、ミコト?!お帰り。今までジタンがいたんだけどな。」
「ホント?!うっそ〜!ジタンお兄ちゃんに会いたいよ!」
「我慢してくれな。またいつか・・・。」
「クジャお兄ちゃん・・・。」
しんみりと時は過ぎ次の日・・・。

「ジ〜タ〜ン!!遊びに来たゾォ!」
「ジタンお兄ちゃん!ミコトだよ!あそぼ〜!!」
アレクサンドリアにやかましいうるさい兄妹がやって来た。
「昨日の今日だぜ?普通来るか?」
ジタンはあきれて口からパンを落とした。
「あ、ジタン。落としたわよ。」
奥様気分のガーネット。
それをみてミコトはカチンと来た。
「ちょっとぉ!私のお兄ちゃんよぉ!なれなれしくしてんじゃないわよ!」
「なによぉ!私はジタンの恋人よ!」
「お兄ちゃんよ!」
「恋人なんですわ!」
ぎゃぁぎゃぁわぁわぁ・・・。
「ジタン。さぁ何して遊ぶ?」
―神様、貴方は意地悪だ。
ジタンは涙を流した。
「兄と会えてそんな泣くほどに嬉しいかい?僕もうれしいさ。」
「ちがう〜〜!!!」
アレクサンドリア。幸せな国。
そして、世界で一番うるさい国。
世界で一番やかましい兄弟の住む国。
そんなアレクサンドリアだが、今日も皆、幸せな一日を送っていた。
「おくってねぇ〜〜〜!!!」

           FIN